ペット新規事業の進め方や抑えておくポイントをペットビジネス専門コンサルサービスが解説

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2023年におけるペット関連商品の国内市場は、前年比4.1%増の5,802億円と見込まれています。

ペットビジネス市場は今後も拡大が予想されており、ペットの家族化や健康意識の高まりが一つの要因です。

2025年の市場予測も6,036億円(2022年度比8.2%増)と好調であるため、ペットビジネスへの新規参入の可能性はあると言えるでしょう。

この記事では、ペットビジネスに参入するための「新規事業の進め方」と「押さえておくべきポイント」について解説します。

※参考元:ペット関連商品の国内市場を調査(株式会社富士経済)

ペット系新規事業の進め方

  1. 市場調査
  2. コンセプト設計
  3. 開発
  4. 品質テスト
  5. 製品改善
  6. マーケティング・販売
  7. 評価・改善

ペットビジネスでも一般的な新規事業と大きな流れは同じです。

ただし、ペットビジネスでは3〜5の過程でリスクの低減やブランディングを目的として、獣医師や大学の監修などをいれるケースがあります。

1.市場調査

現在の「ペットビジネスの市場規模」、「消費者である飼い主のニーズ」、「競合のシェア」について調査します。

現状を分析し、今後のトレンドや動向を予想することで、効果的なマーケティング戦略を立てることが大切です。

2.コンセプト設計

「どの飼い主(消費者)」の「どのようなニーズ」に「どういった利益」を提供するのか、商品の方向性を決めます。

コンセプトに適した商品を開発・提供することで、競合他社との差別化や自社のブランディングにつなげることが目的です。

3.開発

設計したコンセプトに基づいて、商品の基本設計を行い試作品を制作します。

具体的な開発方法としては、「新商品の開発」あるいは「既存商品の改良」です。

その際、獣医師や大学など専門家の協力を得ることで、品質や安全性についてエビデンスに基づいた商品を作ることができます。

4.品質テスト

試作品の性能やデザイン、コスト面の評価が目的です。

本格的な製造を開始する前に、試作と検証を繰り返すことで不良品の原因を特定し、品質を向上させるというメリットもあります。

ペットフード安全法に関わる成分分析やペット用品統一表示ガイドラインの品質基準など、商品によって定められた安全基準を満たすことが大切です。

※参考元:ペット用品の規格・基準策定について(一般社団法人日本ペット用品工業会)

5.製品改善

製造過程で発生する不良品やバラつきなど、製品の問題点を改善します。

一般的に「製品の品質」は、消費者からの「商品イメージ」や「企業イメージ」につながる場合も多いです。

品質テストと製品改善を繰り返すことで、商品の品質を向上させ、信頼獲得を図ります。

6.マーケティング・販売

商品の生産スケジュールの目処がついたら、次に行うのがマーケティングです。

販売価格や販売ルート、広告展開やキャンペーンなど、商品の販売・PR方法を計画します。

商品を販売する前にプロモーションを行い、商品の認知度を上げた上で、販売を本格化していく流れです。

7.評価・改善

販売した商品の売上分析と再度の市場調査を実施し、評価・改善に繋げます。

商品に対する消費者の反応を確認し、売上増加のための改善策を見出すことが重要です。

市場のニーズに合う商品を継続して提供することが出来るよう、商品の販売後も評価・改善を繰り返し行います。

ペットビジネス新規事業で抑えておくポイント

ペットビジネスと一口に言っても、事業領域は様々です。

主にに犬猫に関連した分野としては、以下の3つが挙げられます。

  1. ペットフード分野…ペットフードや犬・猫用オヤツなど食品の製造、販売を行う分野
  2. ペット用品分野…ペットシートや猫砂、シャンプーなど食品以外のペット用品の製造、販売を行う分野
  3. 生体・サービス分野…ペットの生体販売、ペット保険、ペットシッター、老犬ホームなどのサービスを行う分野     

ペットビジネスは裾野が広い分、競合他社も多く生体を対象とする事業特有の難しさもあるため、闇雲に参入することはお勧めしません。

以下では、ペット新規事業を行う上で押さえておくべきポイントについて解説します。

獣医師・大学との連携によるリスク低減

ポイントの1つ目は、獣医師や大学と連携し、商品に対するリスクを低減することです。

近年、ペットに対する健康意識の高まりやペットの家族化を背景に、ペットビジネスにも安心・安全性やヒューマングレードの商品設計が求められています。

製品の安全性を証明するためには、製品のリスクを特定し、そのリスクが許容範囲内であるかを判断することが必要です。

そのため獣医師・大学による成分分析や品質証明を行い、商品の安全性を高めることは、ペットビジネス成功のためのキーポイントといえます。

ヒューマングレードとは…人間の食品と同じレベルで管理された原材料のこと。人間が食べることの出来るフードという意味で用いられます。

引用元:ヒューマングレードとは?ドッグフードの安全性と選び方について解説(いぬのきもちWEB MAGAZINE)

獣医師・大学との共同開発で参⼊障壁を作る

ポイントの2つ目は、獣医師や大学との共同開発により参入障壁を作ることです。

獣医師や大学との共同開発は、獣医学的知見に基づいた信頼性の高い商品を作ることができます。

専門家からの品質証明は、商品だけではなく企業に対するイメージアップにもつながるため、他社と差別化できる事は大きな強みです。

法的規制や健康リスクへの対応

ポイントの3つ目は、ペットフードやサプリメント、ペットグッズなどのペット関連商品には、健康・安全のための基準・規格が定められています。

以下のような法律・ガイドラインです。

※参考元:【弁護士解説】ペット関連商品と薬機法(GVA Professional Group)

製造方法や成分規格、表示基準を守り、ペットの健康リスクに対応する必要があります。

開業に必要な手続き

ポイントの4つ目は、開業に必要な手続きです。

ペットビジネスを始める際に抑えておくべき行政手続きとしては、以下があります。

手続き内容対象となる業種
動物取扱業登録(動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示を業とする際に必要な許可証)動物の小売及び卸売並びにそれらを目的とした繁殖又は輸出を行う業(その取次又は代理を含む)保管目的で顧客の動物を預かる業愛玩、撮影、繁殖その他の目的で動物を貸し出す業顧客の動物を預かり訓練を行う業動物を見せる業(動物とのふれあいの提供を含む)
※各都道府県に登録申請を行い許可されることで取れる資格
貨物自動車運送事業許可(お客様の荷物を運送し、運賃を受け取る事業を行うための許可証)ペットタクシー(ペットのみ)
※飼い主も乗せる場合は一般乗用旅客自動車運送事業許可(タクシー事業を行う際に必要な許可証)を申請。

ただし、既存事業を活かして業界参入する場合には手続きは不要です。

届出の種類や必要性の有無について、開業前に確認しておきましょう。

まとめ

ペット新規事業の進め方と抑えておくべきポイントについて解説しました。

ペットビジネスを行う際は、ペットのための安全基準や法規制を遵守することが重要です。

ビジネス成功のポイントは安心・安全性の高い商品やサービスを提供し、消費者からの信頼を獲得することだと言えるでしょう。

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Toshiyuki Uwai
ペトプロ代表

獣医師免許保有。
企業動物病院の現場マネジャーを3病院で経験。
現在は、動物に関係する教育・人材・webマーケ事業などを展開中。