ペットの家族化や健康意識の向上により、犬・猫の寿命は年々延びています。
- 犬の平均寿命…14.62歳(2010年比 +0.75歳)
- 猫の平均寿命…15.79歳(2010年比 +1.43歳)
※参考元:令和5年全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会)
筆者が動物病院に勤めていた際にも、シニア期の犬や猫が日々来院しており、私達獣医師や動物病院スタッフが来院したペットの年齢に驚く機会も多くありました。
しかしその一方で、予防出来る病気や怪我で来院するペットも一定数いた印象です。
そこでこの記事では、ペットがより健康で元気に過ごせるよう成猫・成犬時期のペットにできる生活向上のためのコツやポイントを獣医師目線でご紹介します。
成猫・成犬の時期に飼い主が出来ること
- 病気の予防を継続する
- 室内環境を整える
- 定期的な健康チェックを行う
1.室内環境を整える
成猫・成犬の時期は、子猫・子犬の時期に比べて睡眠時間が短く、昼間の活動時間が最も長いです。
家の中を走り回ったりジャンプをしたりと活動量も増えるため、怪我をすることがないように、室内環境を予め整えておきましょう。
具体的には以下の箇所を整備します。
整備箇所 | ポイント |
---|---|
フローリング | ツルツルとして滑りやすく、転倒や足腰を痛める原因となる。 コルク剤のような滑りにくくて弾力のある床材や毛足の短いカーペットを敷いておく。 |
お風呂 | 浴槽に落下し溺れることがないよう、蓋をきちんと閉める。 風呂場のドアはなるべく閉め切っておき、換気などで開ける際には浴槽のお湯を抜いておく。 |
電気コード | 足や爪を引っ掛けることによる転倒や感電に注意する。 電気コードは床や壁にぴったりと沿わせるように設置し、カバーを掛けるなど齧られないよう工夫が必要。 |
また動物病院では、人間用のベッドやベランダから落下して怪我を負ったペットの来院もありました。
人間にとっては問題がなくても、思わぬ場所でペットが怪我をするケースもあるため、室内環境の整備は重要ですね。
2.定期的な健康チェックを行う
健康にみえる犬や猫でも定期的な健康チェックは欠かせません。
普段の生活の中では、主に以下の確認を行いましょう。
- 食事・飲水の量
- 元気(活動性)
- 体重
- 皮膚や被毛の状態
など
食欲や元気はペットの体調を知るための最も分かりやすい指標ですが、問題がないと思っていても知らないうちに体重が減っている場合もあります。
定期的に計測して大幅な増減がないよう、気をつけましょう。
年に1回動物病院で健康診断を受け、健康時のデータを蓄積しておくと、病気の早期発見や疾病予防にもつながります。
3.病気の予防を継続する
筆者の勤めていた動物病院では、予防接種や寄生虫の予防などの予防医療は子猫・子犬時代に受けたきりだというペットが来院することもありました。
ペットが元気でいると特別必要性を感じないこともあるかもしれませんが、ペットの健康のためにも予防出来る病気は予防しておくのがベストです。
ペットの予防医療には、例えば下記のプログラムがあります。
犬 | 猫 |
---|---|
・ワクチン L狂犬病 L犬ジステンパー L犬パルボウイルス感染症 L犬伝染性肝炎 L犬伝染性喉頭気管炎 + 必要に応じて ・犬コロナウイルス感染症 ・レプトスピラ ・犬フィラリア症(犬糸状虫症) ・ノミ・マダニ等の外部寄生虫 | ・ワクチン L狂犬病 L猫汎白血球減少症 L猫ウイルス性鼻気管炎 L猫カリシウイルス感染症候群 + 必要に応じて ・猫白血病 ・猫クラミジア病 ・ノミ・マダニなどの外部寄生虫 |
ワクチンで予防を推奨している病気には、現在(2024年8月時点)のところ特効薬や特定の治療法がありません。
実際に筆者も感染症で命を落としてしまう症例を経験したことがあるため、予防医療は継続することをお勧めします。
※参考元:狂犬病(厚生労働省)、【犬編】第2回:怖い・犬の感染症(1)(共立製薬株式会社)、【猫編】第2回:怖い・猫の感染症(1)(共立製薬株式会社)
まとめ
以上、成猫・成犬時期のペットにできる生活向上のためのコツとポイントについて解説しました。
既にご存知だったり、対応済みの情報もあるかもしれませんが、ペットの健康な暮らしのために少しでも参考にしていただけると嬉しいです。
この記事を書いた獣医師▼