犬や猫のペット市場では、現在おやつの販売金額が伸びています。
きっかけは、コロナ禍で飼い主の在宅時間が増加し、ペットのおやつ習慣が広がったことです。
また、ペットの長寿命化を受けた健康志向の高まりもペットおやつ市場の拡大を牽引しています。
物価高が進む中でも、ペット関連分野での買い控えは見られないため、ペットおやつ市場には拡大の余地がある見込み。
この記事では、ペットおやつOEMを行う際の流れやポイント、注意点について解説していきます。
※参考元:物価高でもペットの「おやつ市場」好調、健康志向高まり新規参入相次ぐ…飼育頭数は微減(讀賣新聞オンライン)
ペットおやつのOEMの流れ
ペットおやつのOEMは以下の流れで行います。
- 問い合わせ・依頼
- 打ち合わせ・商品企画
- 試作・改良
- パッケージ選定
- 製造・検査
- 納品・販売開始
他の商品をOEMする場合と基本的な流れは同じです。
ただし、ペットおやつに関するアンケートでは、飼い主がおやつ選びの際に安全性やペットの嗜好性を重視していることが分かりました。
※参考元:おやつに関するアンケート調査(株式会社エレメント)
そのためOEMで成功するためには、獣医師や大学・専門機関と連携し、競合他社との差別化やブランディングを図るのも方法の一つです。
問い合わせ・依頼
まず行うのが、ペットおやつのOEMメーカーへの問い合わせです。
製品を委託製造するOEMでは、イメージする製品を忠実に製造する技術やノウハウが必要となります。
そのため、事前に以下の点についてメーカーに確認しておきましょう。
- 取り扱う原料
- おやつの形状(ジャーキー、ゼリー状、スナック、ガムなど)
- 製造技術
- 製造実績
打ち合わせ・商品企画
次に打ち合わせを行います。
- 原料・形状、パッケージなどの製品仕様
- ターゲット層
- 数量
- 納期
- 予算
- ロット
など
OEMメーカーと一緒に、開発の目的や商品コンセプトを固めた上で、具体的なレシピを設計していきましょう。
また製造するおやつが動物の健康に影響を与えることがないよう、開発時は専門知識に基づき、商品のリスク低減を図ることも大切です。
試作・改良
打ち合わせた内容をもとに、ペットおやつの商品を試作する流れです。
- 設計したレシピ通りに出来ているか
- 味付け
- 香り
- 食感
- 嗜好性
など
細かくチェックし、必要に応じて改良を繰り返します。
また、小ロットで製作することでコスト面の評価も同時に行います。
※参考元:OEMメーカーとは?OEMの意味や発注の注意点を解説(中野製薬)
パッケージ選定
試作品のチェックと並行して行うのが、パッケージデザインの選定です。
ペットおやつの商品パッケージを決める際には、以下の3点がポイントとなります。
- デザイン
- 形状
- 機能性
デザインは特徴のあるブランドロゴや商品名、色使いや写真などで商品の魅力を引き立て、消費者の目を惹くものを選びましょう。
袋の形状には例えば以下のようなタイプがあります。
- 平袋:https://www.niconos.co.jp/category?cid=67
- ガゼット袋:https://www.niconos.co.jp/category?cid=69
- スタンド袋:https://www.niconos.co.jp/category?cid=70
など
また、中に入れるおやつの品質を保持できるよう、変色や腐敗防止などの機能性も必要です。
※参考元:ペットフードに向くパッケージを解説!記載が必要な内容もチェック(福岡パッケージ株式会社canal)
製造・検査
おやつのレシピ・パッケージなど商品の仕様が決まったら、納期や品質、コストについても細かく確認を行います。
最終見積もりに問題がなければ、製造の開始です。
商品を安定的に生産するため、製造段階では主に以下の検査を行い、安全性を確認します。
- 有効成分の分析
- 有害成分の分析
- 細菌検査
など
製品の検査と改善を繰り返すことで、商品の品質向上と信頼獲得を図りましょう。
納品・販売開始
検品の完了後、完成したペットおやつを納品します。
商品の破損を防ぐために丁寧に輸送し、販売開始です。商品の販売後も商品に対する消費者の反応を確認し、売上増加のための改善策を見出していきます。
市場のニーズに合う商品を継続して提供することが出来るよう、評価・改善を繰り返し行うことが大切です。
ペットおやつのOEMのポイント
- ニーズ動向を把握する
- 専門家との共同開発・監修を検討する
- 製造ロット数・製造期間を確認する
ここまではペットおやつのOEMを行う際の流れについて説明してきました。
次は、事業としてペットおやつのOEMで成功するためのポイントについて、解説します。
ニーズ動向を把握する
ペットおやつOEMの一つ目のポイントは、ニーズ動向を把握することです。
つまり、消費者から選ばれる商品を作るということ。
売れる商品作りのためには以下の項目について、市場調査を行います。
- 需要の高い商品
- その商品が求められている理由
- おやつを選ぶ際の優先事項
- 他の選択肢(競合商品)
その上で、自社の商品コンセプトと消費者ニーズの間にズレがないか、自社商品を選ぶメリットは何か、掘り下げて検討しましょう。
近年のペットフード市場では健康志向やグルメ志向が高まっており、機能や品質が充実した高付加価値商品、いわゆるプレミアムフードの需要が拡大しています。
この傾向はペットおやつにおいても同様です。例えば、現在以下のような商品が販売されています。
森永のビスケット「マリー」ブランドの犬用おやつ
米菓「柿の種」の犬用おやつ
老舗鰹節メーカー「まるじょう」の開発した人も猫も食べることが出来る「猫節」
など
専門家との共同開発・監修を検討する
健康的で安心・安全な素材を使用したプレミアムフードの需要増加と共に、ペットフード市場では獣医師との共同開発や監修・ 推奨が訴求されています。
※参考元:ペット関連商品の国内市場を調査(株式会社富士経済)
専門家との共同開発・監修を行うメリットは、獣医学的知見に基づいた商品作りと商品に対するリスク低減です。
専門家による成分分析や品質証明は、商品の安全性向上や自社のイメージアップにもつながるため、OEM成功のためのキーポイントといえます。
製造ロット数・製造期間を確認する
発注可能な最小ロット数や製造期間を確認しておくことも、OEMを成功させるための大切なポイントです。
ペットおやつを製造する際には、ペットフードと同様に賞味期限の設定が必要となります。
賞味期限切れの商品在庫は、動物の健康に影響を及ぼす可能性があるため、基本的に全て廃棄しなければなりません。商品の在庫数を抑えてロスを減らすためにも、小ロットでの発注や短期間での製造が可能かどうかを事前に確認することが重要です。
※参考元:ペットフード安全法表示に関するQ&A(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)、ペットフード安全法の対象となる愛玩動物用飼料に関するQ&A(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)
ペットおやつにおける注意点
- 安全性を確保する
- パッケージの表示基準を守る
- 帳簿の保管をする
ペットおやつのOEMにおける注意点について解説します。
安全性を確保する
ペットおやつを開発・製造する際には、ペットフード安全法を遵守する必要があります。
ペットフード安全法とは、ペットフードの安全性を図り、ペットの健康保護と動物の愛護に寄与することを目的とした法律です。
この法律では以下の項目について定められています。
- ペットフードの基準・規格の設定及び製造等の禁止
- 有害な物質を含むペットフードの製造等の禁止
- ペットフードの廃棄等の命令
- 製造業者等の届出の義務
- 帳簿の備付けの義務
- 報告徴収、立入検査等
パッケージの表示基準を守る
ペットおやつのパッケージは、ペットフード安全法の表示基準の対象です。
そのため、包装の製造時は以下の5項目について、表示が義務付けられています。
名称 | 商品名をいうが、犬用又は猫用であることがわかるように記載。 |
賞味期限 | 「賞味期限」と記載して、年月日又は年月により表示。(例:2025 08) |
原材料名 | 「原材料名」又は「原材料」と記載して、原則として、使用した原材料(添加物を含む)をすべて記載。 |
原産国名 | 「原産国名」又は「原産国」と記載して、実質的な変更をもたらす最終加工工程を完了した国を記載。 |
事業者の氏名又は名称及び住所 | 事業者の種別(製造業者、輸入業者、販売業者、製造者、輸入者、販売者のいずれかに限る)を記載して、氏名又は名称、住所を記載。 |
※参考元:ペットフードの安全確保のために(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)
帳簿の保管をする
ペットおやつを卸売または小売などの販売業者に出荷する場合は、帳簿への記帳が必要です。
帳簿には以下の内容を記載し、2年間保存します。
- ペットおやつの名称・数量
- 相手方の名称
- 譲渡しの年月日
- ペットおやつの荷姿
ただし、ペットの飼い主に直接販売した場合には帳簿の記載義務はありません。
※参考元:ペットフードの安全確保のために(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)
まとめ
ペットおやつOEMの流れとポイント、注意点について解説しました。
ペットおやつOEMを行う際には、ペットおやつの製造経験・実績があり、法律に関する知識を持っているOEMメーカーを選ぶ事が重要だといえます。