このページでは、ペットフード開発の流れと注意点について解説します。
ペトプロでは、ペットフード開発に関して無料でアドバイスすることも可能です。
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ペットフード開発の流れ
近年、ペットフード市場は拡大を続け、もともとペットフード専門ではなかった企業も業界に新規参入しています。
ではペットフードはどのような流れで開発されるのでしょうか。
以下では大まかな流れを説明していきます。
- 情報収集
- 臨床試験
- 工場・材料の手配
情報収集
まず商品開発にあたって必要なのは情報収集です。
必要な情報には栄養学的情報とニーズ情報があります。栄養学的情報に関しては、動物種によって必要な栄養素やカロリーが変わってくるため学術的な観点からペットフードの成分を考える必要があります。
例えば、犬は猫よりも必要な炭水化物の割合が高く、逆に猫は犬よりも必要なタンパク質の割合が高いです。ニーズ情報に関しては、ペットフードの味や形状、固さといった見てわかりやすい特徴はもちろん、原材料や餌への食いつき、機能性、糞の様子、オーガニックかどうかといった観点も注目する必要があります。
※参考元:ペットフード開発(食品開発OEM.jp)、犬・猫・ヒトの必要な栄養素の違い|栄養学・ペットフード|ブログ|かみよし動物病院|神戸市垂水区|犬 猫|ペットホテル・日曜日も診療 (kami-ah.com)
臨床試験
開発するペットフードのコンセプトが決まったら、試作品を作る段階に移ります。
材料や素材の組み合わせから試作し、実際にそれを動物に食べさせてデータをとり、改良を加えることを繰り返します。注目するべきデータとしては消化試験、エネルギー代謝試験、嗜好性実験が挙げられます。
消化試験は摂取した栄養素の内どのくらいの割合でその栄養素が体内に残るのかを測定するものです。エネルギー代謝試験では動物のからだにおけるエネルギー収支やエネルギーにの利用のされ方を調べ、それをもとにどれくらいのカロリーを与えるべきか計算します。
もしこの試験を行わないと栄養素的には優れていたろとしても、エネルギー過多あるいは不足で肥満や削痩といった問題が生じる可能性があります。嗜好性実験ではどのような味や匂いが動物に好まれるのか調べます。
人と違い動物は意見を述べることはできないので、一般には採食量や採食行動から嗜好を判断しています。
※参考元:ペットフードの主な動物試験法(ペット栄養学会誌)、ペットフードの開発者(未来の職業研究)
材料・工場の手配
どのようなペットフードを開発するべきか必要な情報が集まったら、次にするべきは材料・工場の手配です。
材料を運ぶコストや保管する費用も考慮する必要があります。製造を委託する工場についてはインターネットで情報を得ることができることに加え、見学をさせてくれるところもあります。
各業者(工場)には「有機JAS認定工場」や「食肉卸の強みを持っている」「委託すれば原材料の手配から梱包まで一括で行う」など様々な「売り」があります。
安全性をアピールすることで顧客からの信頼を獲得することができることはもちろん、加工に特別な技術、製法を用いていることも大きな売りになります。
※参考元:製品開発の取り組み | ペットフードのスマック (smack.co.jp)
ペットフード開発で必要なこと。資格はいる?
- ニーズ動向
- 専門家の監修
- レビュー・検査
ここまではペットフードを開発するにあたって、構想から実際に製品化するまでの流れを説明してきました。
次はペットフードを開発するにあたって必要なことを説明します。
ニーズ動向
先述した通り、ペットフード市場は近年拡大傾向にあります。
原因の一つとして挙げられるのがコロナ渦です。自宅で過ごす時間が以前と比べて増えたことで、新しく飼育されるペットの頭数は増加しています。
コロナ渦にあっても家計におけるペット関連費用は減少せず、むしろ増加傾向にあります。
またペットの「高齢化」「小型化」「家族化(室外飼育から室内飼育へ)」「肥満」といった傾向が見られ、飼い主は安価なペットフードを支持しつつも、質の良い、安心安全にこだわったペットフードにも関心を持つようになっています。
従来の安さにこだわった製品の開発がすぐに否定されることはありませんが、これからはペットフードを開発するにあたって安さをコンセプトにするのか、付加価値をつけて差別化を図るのか、付加価値をつけるにしてもどこにこだわりを置くとよく売れるのか(味なのか、成分なのか、形状なのか等)考える必要があります。
※参考元:コロナ禍を追い風にペット関連市場が1.6兆円突破(2020年度) | タナベコンサルティング (tanabeconsulting.co.jp)、ペット産業の動向~市場規模、競争環境、主要プレイヤー | PEDGE(ペッジ)、ペットビジネス講座 ペットフードの開発、輸入、販売 [小動物] All About
専門家の監修
ペットフードに限らず、何か製品を開発するにあたってその道の専門家の監修を受けることは大きなアピールポイントになります。
ペットフード業界の専門には獣医師や栄ペット栄養管理士、ペットフード販売士、ペット食育士が挙げられます。
また、獣医学部の他に農学部や畜産学科、栄養学科でもペットフード開発にあたって必要な栄養学を学ぶことができます。このような専門家に監修を依頼すると多少開発費用がかさみますが、既に市場で出回っているペットフードはその多くが獣医師の監修を受けているものであり、安全志向が高まる今日の状況を考えると、専門家の監修を入れることは珍しいことではなく、スタンダードであると言えます。
※参考元:ペットフードの開発者| なり方・資格・仕事内容・年収など | 未来の職業研究 | 東進の職業情報サイト (toshin.com)
レビュー・検査
製品を開発し、製造すれば終わりということではありません。
新しく開発したペットフードが市場でどのように受け取られているのか調査する必要があります。また商品レビューに加えて製造したペットフードが本当に予定通りの成分を含んでいるのか、製造過程でサルモネラ菌など有害な微生物が混入していないか確認することも重要。
食品成分についてはアミノ酸やビタミン、ミネラルなど僅かしか含まれていない物質も重要です。工場によっては万が一に備えて各製造工程において製品を全て抜き取り一定期間保存するなどの取り組みを実施しています。
※参考元:研究開発センターについて|ペットライン – 愛犬・愛猫の健康を考えた国産ペットフード (petline.co.jp)、製品開発の取り組み | ペットフードのスマック (smack.co.jp)
ペットフード開発の注意点
最後にペットフードを開発するにあたって注意するべきことをまとめました。
食中毒といった細菌汚染を防ぐことはもちろん、法律的に使用が許可されていない成分を含んでいないか等、制度面でも注意する必要があります。
- 注意点1:製造過程で注意するべきこと
- 注意点2:ペットフードに関する法律
- 注意点3:日本のペットフードと外国のペットフード
製造過程で注意するべきこと
製造過程で注意するべきことを以下のような例が挙げられます。
- 油脂の酸化
- 生肉使用や加熱不足による食中毒
- タンパク質の腐敗
- 総合栄養基準の逸脱
- サプリメントやおやつ等による過剰症や欠乏症
ペットフードに含まれる油脂が酸化されることで、嗜好性が落ちたり、最悪の場合下痢といった症状につながるケースが報告されています。油脂の酸化の他、加熱不十分や腐敗による食中毒も発生しうるものです。
また、トリプトファンやメチオニン、タウリンといった栄養基準から逸脱しやすい物質があることを理解しておかないと、そのペットフードを食べ続けた結果欠乏症になることもあります。
更に、近年はペットにもサプリやおやつを与えることが増え、カロリー過多、塩分過多になる例が増えてきています。
従ってペット用のおやつを開発するならば、塩分量やカロリーを調節する必要があります。
※参考元:ペット栄養学会誌 Vol.20 No.2 October 2017 (jst.go.jp)
ペットフードに関する法律
ペットフードに関する法律として「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)(平成21年6月1日施行)」が挙げられます。
この法律ではペットフードの原材料(成分規格や添加物、ジビエのペットフードへの使用について等)や製造方法の基準を定めています。ペットフード安全法では問題が発生した際製品や原因を速やかに特定し、ペットの健康被害を未然に防止するため、「名称」「賞味期限」「原材料名」「原産国名」「事業者名 事業者住所」の5つの項目について必ず表示するよう義務付けています。
「名称」についてはただ単に「ペットフード」「ペットスナック」と記載することは誤解を招くおそれがあるため、犬用か猫用かまで表示する必要があります。
更に企業は製造や輸出に関する届出や帳簿を備え付け、必要に応じて立ち入り検査に応じる義務があります。またこの法律において愛がん動物は犬と猫を指し、エキゾチックアニマルは含まれていないことも忘れてはいけません。
※参考元:環境省_愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法) [動物の愛護と適切な管理] (env.go.jp)、ペットフード安全法 表示に関するQ&A:農林水産省 (maff.go.jp)
日本のペットフードと外国のペットフード
ペットフードを開発するにあたって注意するべきことの三つ目として日本のペットフードと外国のペットフードの違いがあります。
製造する上で直接関係することは少ないかもしれませんが、知識として持っておくとで世界における日本のペットフード業界の立ち位置をとらえやすくなります。平成19年にアメリカにおいてペットフードにメラミンが混入し、ペットに健康被害が生じる事故がありました。
このペットフードは日本にも輸出されていたため、輸入品のペットフードにネガティブな印象を抱き、国産のペットフードならば安全であるだろうと考える消費者もいます。
しかし、実際は国産だから安全、外国産なので危険と二分することは難しいです。国産と表示されていても、最終的な加工が日本で行われていれば国産と表示できるため、生産のほとんどが外国で行われている可能性もあります。
また、ヨーロッパやアメリカはペットフードに関する法律が日本より厳しく、日本ではペットフードは「犬猫用」であるのに対し、欧米ではペットフードは「食品」扱いされています。
逆にいくら欧米の厳格な基準下で作られてたペットフードであっても正規輸入品でなければ賞味期限や保管状態の担保が十分ではありませんので安全とは言えません。
ペトプロではペットフード開発のアドバイスが可能!
以上ペットフードを開発するにあたっての流れ、必要なこと、注意するべきことについて紹介してきました。
ぺトプロには獣医師が在籍しており、お客様の開発したいペットフードを商品化するため、サポートや監修を承っています。コロナ渦による外出自粛でや各メーカーの啓蒙活動を受けて、自分のペットにより良いものを食べさせたいと望む飼い主は多く、ペットフードはペットビジネスの中でも成長が大きい分野です。
開発するにあたっては安全基準や栄養学的なことなど、留意することが多くありますが、このような項目一つ一つに真摯に取り組むことが市場での信頼獲得につながります。
ペットフード開発にあたってご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。獣医師からのアドバイスも可能です。