【獣医師に相談できる】ペットフードのOEMの流れやポイントについて解説

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ペット関連市場の市場規模は、2014年以降増加傾向です。

コロナ禍により室内でペットにかける費用が増加した後も増え続け、2023年には1.84兆円となっています。

またその内訳の中でも、ペットフードの市場規模は2017年の5,015億円から2024年には7,078億円へと増加しました。

2023年におけるペットの飼育頭数は15歳未満の子供より多く、現代の少子化時代においてペット関連市場は注目を浴びています。

※参考元:【データから読み解く】国内ペット関連市場(BBT大学院Online MBA)

この記事ではペットフードのOEMを行う際の流れとポイント、注意点について解説します。

ペットフードのOEMの流れ

ペットフードのOEMは以下の流れで行います。

  1. 問い合わせ・依頼
  2. 商品の企画・提案
  3. 試作・改良
  4. パッケージ選定
  5. 契約・製造開始
  6. 分析・検査
  7. 納品・商品販売

他の商品をOEMする場合と基本的な流れは同じです。

問い合わせ・依頼

まずはじめに行うのが、ペットフードのOEMメーカーへの問い合わせです。

同じOEMを行う会社でもメーカーによって、取り扱っている原料や配合、フードの形状、製造実績、製造設備は異なります。

例えば、ペットフードの形状として一般的に販売されているのは以下のような種類です。

  • ドライフード(カリカリタイプの粒状)
  • ソフトドライフード・セミモイストフード(水分含量が高く軟らかいタイプ)
  • ウェットフード(缶詰やレトルトパウチ)

※参考元:ペットフードの種類と使い方(ユニ・チャームペット)

問い合わせの際には商品イメージについて相談し、企画が実現可能かどうか予め確認しておきましょう。

商品の企画・提案

OEMメーカーと商品企画について、打ち合わせを行います。

検討が必要な項目は以下の通りです。

  • 原料の選定、配合率、栄養バランス、形状
  • パッケージデザイン、形状
  • ターゲット層
  • 数量
  • 納期
  • 予算
  • ロット   

など

ペットフードをOEMで製造するメリットの一つに、商品開発やマーケティングのサポート体制が挙げられます。

ペットフードの製造開発は安全性の確保が重要であるため、専門知識に基づき、商品のリスク低減を図ることが大切です。

※参考元:「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)(環境省自然環境局総務課動物愛護管理室)

試作・改良

打ち合わせた内容をもとに、ペットフードの商品を試作する流れです。

完成した試作品について、以下の項目をチェックし、必要に応じて改良を繰り返します。

  • 水分、タンパク質、脂質などの栄養成分が設計通りになっているか
  • 味付け、香り、食感
  • 嗜好性
  • 製作コスト   

など

パッケージ選定

試作品のチェックと並行して行うのが、パッケージデザインの選定です。

ペットおやつの商品パッケージを決める際には、以下の3点がポイントとなります。

  1. デザイン
  2. 形状
  3. 機能性

デザインは特徴のあるブランドロゴや商品名、色使いや写真などで商品の魅力を引き立て、消費者の目を惹くものを選びましょう。

またペットフードはフードに含まれる水分量によって品質保持の方法が異なります

防湿性の高いドライフード向けのチャック付き袋、ウェットフード用の缶詰やレトルトパウチなど、製品タイプに合わせたパッケージ選びがポイントです。

※参考元:ペットフードに向くパッケージを解説!記載が必要な内容もチェック(福岡パッケージ株式会社canal)

契約・製造開始

ペットフードのレシピや内容量、パッケージなど全ての仕様が決まったら、メーカーと生産方法をすり合わせていきます。

商品の企画設計とズレはないか、納期や品質、コストを含めて、綿密な確認が大切です。

最終見積もりに問題がなければOEMメーカーと契約し、製造を開始します。

分析・検査

安全性の高いペットフードを作るためには、製造過程での分析・検査が欠かせません。

例えば、以下のような検査を行います。

官能検査五感を使って、原料の色や匂いなどを確認する検査。
原料の栄養成分検査原料の水分、タンパク質、脂質、粗繊維、灰分を測定する。ペットに適切な栄養成分が含まれているかを確認する検査。
粒の物性検査ペットフードの粒や厚さを測る検査。ペットが食べやすい大きさ、形になっているかを確認する。
安全性検査サルモネラ菌など有害な微生物がいないか、衛生面の検査。有害物質が入り込まないよう原料の段階からチェックし、安全性を確保する。

※参考元:ペットフードの適正製造マニュアル(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)安心・安全を届けるために(ユニ・チャームペット)ペットフードの検査(ビューローベリタスエフイーシー株式会社)

納品・商品販売

最終検査後、完成したペットフードの納品・販売開始です。

ペットフードの販売開始後も商品に対する消費者の反応を確認し、売上増加のための改善策を見出していきます。

評価・改善を繰り返し行い、市場のニーズに合う商品を継続して提供することがポイントです。

ペットフードのOEMのポイント

  1. 栄養学に基づいた商品設計をする
  2. 獣医師との共同研究・監修を検討する
  3. 市場ニーズを踏まえた商品開発をする

ここまではペットフードのOEMを行う際の流れについて説明してきました。

次は、事業としてペットフードのOEMで成功するためのポイントについて、解説します。

栄養学に基づいた商品設計をする

ペットフードのOEM製造を行う際に理解しておきたいのがAAFCOの栄養基準です。

AAFCOとは、ペットフードの栄養基準やラベル表示に関する基準を制定している米国団体で、日本のペットフード公正取引協議会もこの基準を採用しています。

ペットに必要な栄養素の種類は以下の通りです。

  • タンパク質とアミノ酸
  • 脂質と脂肪酸
  • ミネラル
  • ビタミン、その他

AAFCOは上記の栄養素の必要量について動物種・ライフステージ別に提言しており、ペットフードに関する栄養基準の世界的なスタンダードの一つとなっています。

※参考元:AAFCO2016年版における犬猫の栄養素プロファイル概要(前編)(追田順哉、ユニ・チャーム株式会社)

獣医師との共同研究・監修を検討する

ペットフードOEMで成功するためには、獣医師との共同研究・開発がポイントの一つです。

現在、健康的で安心・安全な素材を使用したプレミアムフードの需要増加と共に、ペットフード市場では獣医師との共同開発や監修・ 推奨が訴求されています。

また、猫の飼い主に対するキャットフードに関するアンケートでは以下の回答結果となりました。

キャットフードの購入時に意識することは?(複数回答可)

  1. 安全性が高い、または高そう…54%
  2. 原材料が明確であること…47.3%
  3. 信頼できるブランドであること…40.7%

上記3つの回答が価格が安いことの12.5%を上回り、安全性・信頼性を重視する飼い主が多いことがわかります。

※参考元:【ぽぽねこ】キャットフードに関する意識調査レポートを発表!(PR TIMES)

獣医師との共同開発・監修のメリットは、獣医学的知見に基づいた商品作りと商品に対するリスク低減を行うことが出来る点です。

また、獣医師による成分分析や品質証明は、商品の安全性向上や自社のイメージアップに繋げることができます。

市場ニーズを踏まえた商品開発をする

ペットフードのOEMを行う際は、市場ニーズを踏まえた商品開発をすることも大切なポイントです。

2024年に行われたドッグフードに関するアンケートでは以下の回答結果となりました。

ドッグフードを選ぶ時に最も重要視しているポイントは?

  1. 食いつき…23.4%
  2. 原材料…16.1%
  3. 価格、仕様(対応年齢や対応犬種など)…11.0%

上位に価格原材料などがある中で、食いつきが一番多くなったことは、選り好みをする・食べ飽きるなど、犬自体の食事に対する感覚が変化したのかもしれません。

また、ここ数年は無添加ヒューマングレードのドッグフードがトレンドとなっていましたが、人工香味料や甘味料などの添加物を使用していないドッグフードが増えていることも食いつき低下の要因の1つと考えられています。

※ヒューマングレード…人間用の食品と同じレベルで品質管理された原材料のこと。人が食べても問題ない品質という意味で用いられる。

※参考元:愛犬の食いつきに悩む飼い主が増えた?ドッグフードを選ぶ基準(PR TIMES)

ペットフードOEMで成功するためには、原材料の安全性と共にペットの食いつきに配慮した商品作りが鍵となるでしょう。

ペットフードのOEMにおける注意点

  1. 商品の品質と安全性を確保する
  2. 問い合わせやリスク対応の準備をする
  3. ペットフード安全法を遵守する

ペットフードのOEMにおける注意点について解説します。

商品の品質と安全性を確保する

ペットフードのOEMでは、商品がペットの健康に影響を及ぼすことがないよう、商品の品質と安全性を確保することが重要です。

ペットフードを製造する際の注意点は、ペットフードの適正製造マニュアルにまとめられています。

  • 文書管理
  • 原材料の管理
  • 製造施設の管理
  • 製造工程の管理
  • 製品の管理

ペットフードの品質と安全性を確保するために、使用する原料や配合・設備・品質管理体制に応じた衛生管理を行いましょう。

※参考元:ペットフードの適正製造マニュアル(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)

問い合わせやリスク対応の準備をする

厳しい検品作業をクリアした商品でも、販売後に消費者からの問い合わせやトラブルが生じる場合があります。

例えば、以下のような事例です。

  • ペットフードの粒の大きさや形、色のばらつき
  • 異臭
  • 容器の傷
  • 異物混入
  • パッケージの誤表記

など

※参考元:犬の商品に関するご質問(ユニ・チャーム)よくあるご質問(いなばペットフード株式会社)原材料の誤表記に関するお詫び(ロイヤルカナン・ジャポン合同会社)

トラブル発生時には自主回収や返品、交換などの対応を行うことになりますがOEMメーカーによってサポート体制にも差があります

商品トラブルはブランドの信用力にも関わるため、トラブルの際の費用の負担やサポート体制については、事前の取り決めが重要です。

ペットフード安全法を遵守する

ペットフードを製造する際には、ペットフード安全法を遵守する必要があります。

ペットフード安全法とは、ペットフードの安全性を図り、ペットの健康保護と動物の愛護に寄与することを目的とした法律です。

この法律では以下の項目について定められています。

  • ペットフードの基準・規格の設定及び製造等の禁止
  • 有害な物質を含むペットフードの製造等の禁止
  • ペットフードの廃棄等の命令
  • 製造業者等の届出の義務
  • 帳簿の備付けの義務
  • 報告徴収、立入検査等

法律に違反した場合、一年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金を課されるケースもあるため注意が必要です。

※参考元:ペットフードの安全確保のために(農林水産省)愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(e-GOV法令検索)

まとめ

ペットフードOEMの流れとポイント、注意点について解説しました。

ペットフードのOEMを行う際には、製造経験・実績があり、法律に関する知識を持っているOEMメーカーを選ぶ事がポイントとなるでしょう。

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Toshiyuki Uwai
ペトプロ代表

獣医師免許保有。
企業動物病院の現場マネジャーを3病院で経験。
現在は、動物に関係する教育・人材・webマーケ事業などを展開中。