2023年におけるペット関連商品の国内市場は、前年比4.1%増の5,802億円の見込みです。
2025年の市場予測も6,036億円(2022年度比8.2%増)であり、ペットビジネス市場は今後も拡大が予想されています。
ペットビジネス市場が好調な要因の一つは、ペットの家族化です。
2023年に行われた調査では、主に屋外で飼育されるペットの割合は犬で5.6%、猫で1.6%のみであり、近年室内のみで飼育されるペットの数が増加しています。
そこでこの記事では、ペット用マットのOEMを行うための流れとポイント、注意点について解説します。
ペット用マットとは
ペット用マットは、主にペットの転倒防止やフローリングの傷や汚れを防ぐために使用します。
例えば、以下のような製品です。
- ジョイントマット
- タイルマット
- コルクマット
- カーペットマット
など
フローリングには掃除がしやすいというメリットがありますが、ペットが足を滑らせて骨や関節を痛めてしまう恐れもあります。
室内でのペットの負担を減らし、快適に生活するためには、ペット用マットの使用がおすすめです。
※参考元:みんなのどうぶつ病気大百科【脱臼とは?】(アニコム損害保険株式会社)
ペット用マットOEMの流れ
ペット用マットのOEMは以下の流れで行います。
- 問い合わせ・依頼
- 商品企画
- サンプル作成
- 発注・本生産
- 検品・販売開始
基本的な流れは、他の商品をOEMする場合と同じです。
ただしペット用マットには、デザイン性は勿論、「耐久性」や「クッション性」、「防水加工」といった機能性も求められます。
そのため、商品企画〜品質テスト・改善の過程で、獣医師や大学、専門機関と連携し、競合他社との差別化やブランディングを図るのも一つの方法です。
問い合わせ・依頼
まずは、ペット用マットのOEMメーカーに問い合わせを行います。
同じOEMを行う会社でもメーカーによって、取り扱う素材や対応可能なデザイン、製造設備、製造期間は様々です。
そのため、問い合わせの際には商品イメージについて相談し、企画が実現可能かどうか予め確認しておきます。
商品企画
OEMメーカーと打ち合わせを行い、商品の企画設計を行う流れです。
具体的には、以下の内容について検討します。
- 素材、サイズ、付加価値などの製品仕様
- ターゲット層
- 数量
- 納期
- 予算
- ロット
など
OEMメーカーの中には、製造・技術面だけではなく、商品開発やマーケティングに関するノウハウを持つ会社もあるため、企画設計の際に商品作りのアドバイスをもらう事もおすすめです。
サンプル作成
打ち合わせた内容をもとに、小ロットでサンプル品を製造し、実際の仕上がりを細かく確認します。
ペット用マットのサンプルで確認するポイントは以下の通りです。
- 外観、縫製、加工の仕上がり
- 歪みやねじれなど、形態異常の有無
- 強度、耐久性
- 機能性の評価
など
修正が必要な箇所がある場合には、試作と改良を繰り返します。サンプル品が設計通りに完成しているか、性能やデザイン、コスト面の評価が目的です。
発注・本生産
試作品の評価後、OEMメーカーと生産方法をすり合わせていきます。
製造ロット数や納期、生産コスト等に問題がなければ、発注依頼を行い、製造開始です。
製造過程においても、不良品やバラつきといった製品の問題が生じた場合には、改善作業を行います。
検品・販売開始
本生産による製品が完成したら最終検品を行います。
検品時のチェックポイントは以下の通りです。
- 仕上がりの状態
- 納品数
- ゴミや汚れ
- 包装の状態
など
検品の完了後、ペット用マットを納品します。商品に破損が起こらないよう丁寧に輸送し、販売開始です。
ペット用マットのOEMのポイント
ペット用マットの製造を行う際に知っておきたいポイントについて解説します。
機能性
ペット用マットは、主にペットの転倒防止を目的に使用する商品であるため、「滑り止め」をつけるましょう。
ペットが室内を走ったり、ジャンプした際にマットがずれると、ペットの足腰を痛めてしまう恐れがあります。
安心・安全性の高い商品を提供するためにも、「滑り止め」の加工を施すことがポイントです。
※参考元:臨床試験(岐阜大学動物病院神経科)、膝蓋骨脱臼〈犬〉(みんなの動物病気大百科)、前十字靭帯断裂〈犬〉(みんなの病気大百科)
また機能面では、滑り止め以外にも以下のような付加価値をプラスして、競合他社との差別化を図るケースもあります。
- クッション性
- 通気性
- 防水加工
- 防音
- 断熱効果
- 防ダニ加工
など
手入れのしやすさ
ペット用マットのOEMで成功するには、「手入れがしやすい」商品作りもポイントの一つです。
ペットと生活する中では、急な嘔吐や粗相、抜け毛によってマットが汚れてしまうことがあります。
そのような際に、ペット用マットに汚れが残っていると、カビやダニが繁殖してしまうケースがあるため、注意が必要です。
さらに、カビやダニなどのハウスダストは、人や犬に対してアレルギーの原因となることも知られています。
そのためペット用マットのOEMでは、ペットと飼い主が安心して使用できる「手入れのしやすい」商品を作ることが大切なポイントです。
※参考元:犬猫のアレルギーと食物アレルギー(小方宗次、ペット栄養学会誌,4(2):98-101,2001)
ターゲット設定
ターゲットを明確化し、他社ではなく自社のマットを購入するメリットを掘り下げることで、魅力的な商品の開発・販売につながります。
現在市場で販売されているのは、例えば以下のような付加価値のあるペット用マットです。
など
OEMで成功するためには、まず「ターゲットを明確」にし、そのニーズや競合動向を調査した上で、商品コンセプトを決定することが重要だと言えます。
ペット用マットOEMにおける注意点
ペット用マットをOEMで製造・販売する際には、以下の3点に注意しましょう。
- 安全性
- 製造ロット数
- トラブル発生時の対応
安全性
2022年に行われたアンケートにおいて、飼い主が「ペット用品を選ぶ際の基準」第一位は、「安全性」でした。
同アンケートでは、ペット用品に人間と同程度の衛生基準を望む声が多数あり、「安全性」はペット用マットOEMの際に注意すべきポイントです。
※参考元:ペット用品選び〜購入についての実態調査(株式会社ハリオ商事)
ペット用品の安全基準には、一般社団法人ペット用品工業会が策定した「ペット用品統一表示ガイドライン」があります。
このガイドラインは、消費者保護とペット用品の品質向上を目的に、以下の項目についてまとめたものです。
- 製品表示基準
- 品質基準
- 品質検査
この規格・基準に適合した商品には「適合品証」が発行され、パッケージに表示することができます。
※参考元:ペット用品の規格・基準策定について(一般社団法人日本ペット用品工業会)
製造ロット数
OEMでは、製造する商品のロット数についても注意が必要です。
ロット数とは、一回に生産する製品数量のまとまりを表します。
一般的に、製造時のロット数が多いほど、初期費用と在庫を抱えるリスクが増加するため、OEMメーカーに発注可能な最小ロット数を確認しておくことが大切です。
また小ロット発注には、本格的な販売を開始する前にテスト販売を実施することができるというメリットもあります。
トラブル発生時の対応
厳しい検品作業をクリアした商品でも、販売後のトラブル発生時の対応の準備はしておきましょう。
例えば、傷や汚れ、異臭、異物混入、パッケージの誤表記などの商品トラブルがあります。
トラブルの発生時は自主回収や返品、交換などの対応を行うことになりますが、OEMメーカーによってサポート体制の程度は様々です。
商品トラブルはブランドの信用力にも関わるため、トラブルの際の費用の負担やサポート体制について、事前に取り決めをしておく必要があります。
まとめ
ペット用マットのOEMの流れとポイント、注意点について解説しました。
ペット用マットのOEMを行う際には、製造経験や実績があり、自社のニーズに合った信頼できるOEMメーカーを選ぶ事が大切です。