ペットビジネス市場規模はどうなっているんでしょうか。
2024年の現状と今後の展望を予想してみました。
動物、ペットビジネス別に予想しています。
気になる箇所からご覧ください。
2024年ペットビジネスの市場規模は拡大を続ける
近年、ペット飼育頭数は減少傾向にありますが、ペットを大切な家族として考える人が増えていることから、一頭あたりにかける費用は増加傾向にあります。
健康志向のペットフード、ペットホテルや老犬老 猫ホーム、ペット保険など、様々なニーズに合わせた多種多様なペットビジネスが台頭しているのです。また、コロナ禍の自粛期間で今までペットを飼ったことがなかったものの、新しくペットを飼うという人が増えたという話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ここでは、ペットビジネスの現在の市場規模を動物種別、分野別に見ていき、そして今後の展望について考えていきましょう。
動物種別に見る市場規模
2021年度のペットビジネス全体の市場規模は1兆7187億円。前年度比101.8%で過去年度から引き続き増加傾向にあります。
中でも新型コロナウイルス感染症が流行した2020年度は前年度比が107.5%と著しく高いです。導入でも触れた通り、コロナ禍で新しくペットを飼う人が増えたり、ペットを飼っていた人もペットと過ごす時間が増え、ペット向けサービスによりお金を使うようになったためと考えられます。
参考元:ペットビジネスに関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)、令和5年 全国犬猫飼育実態調査(ペットフード協会)
犬の市場規模
かつては「ペットと言えば犬」というイメージがあったかと思いますが、実は犬の飼育頭数は減少傾向にあります。飼育頭数のピークは2008年の10,872千頭で、毎年減少しており、2023年の飼育頭数は6,844千頭です。飼育世帯当たりの平均飼育頭数はほぼ横ばいですが、世帯飼育率が減少していることがわかります。
各年の実態調査実施の1年以内に飼われ始めた新規飼育頭数については、コロナ禍の影響で2019年の350千頭から2020年の416千頭で大きく増加したものの、ここ数年は微増減を繰り返しています。2023年の新規飼育頭数は397千頭です。
また、近年は小型ペットの人気が上昇しており、室内飼育が増加していることから、大型犬向けの需要は減りつつあります。ドッグフードについては、飼育頭数は減少していますが、高価格帯商品のプレミアムフードの需要拡大により、金額ベースの市場規模は横ばいです。
猫の市場規模
減少傾向の犬と比べ、一方の猫の飼育頭数は横ばい、微増の傾向にあります。2017年の調査では、調査開始以来初めて猫の飼育頭数が犬を上回りました。2023年は9,069千頭で犬の飼育頭数を2,000千頭以上も上回っています。犬と同じく飼育世帯当たりの平均飼育頭数は横ばいで、世帯飼育率も横ばいである点は犬と異なりますね。
猫の新規飼育頭数についても、コロナ禍の影響で2019年の394千頭から増加していき、2021年で489千頭を迎えてからは減少が続いています。2023年の新規飼育頭数は369千頭でした。
長期的に猫の飼育頭数が安定しているのは、小型ペット・室内飼育志向が高まる中で、猫はこういった志向の影響を受けないためと考えられます。キャットフードの需要も安定しており、2017年度にキャットフードの市場構成比はドッグフードを逆転しました。ペットフードメーカーの新商品投入や、小売りによる猫関連売り場を拡大させる傾向により、キャットフード市場は拡張傾向にあります。
その他の動物の市場規模
犬猫以外のペット、いわゆる「エキゾチックアニマル」。エキゾチックアニマルの定義には様々ありますが、主に魚類、鳥類、うさぎ、ハムスターなどネズミ類、爬虫類などが挙げられます。一昔前からハムスターやミドリガメなどが家庭のペットとして広く飼われていましたが、近年ではペットが家族の一員として認識されるようになり、動物の生態や特性に配慮した飼育をする傾向が強まっているようです。
エキゾチックアニマルの飼育頭数は増加傾向にあり、比較的飼育スペースが狭く、犬や猫より費用や手間がかからない、珍しさに対する興味などがその要因と考えられます。
2022年の調査によると、ペット飼育者の中でエキゾチックアニマルを飼っている人は約45%で、飼育されているエキゾチックアニマルは多い順に、鳥(文鳥やインコ)、ハムスター、カメ、ウサギ、モルモットとなりました。コロナ禍をきっかけにエキゾチックアニマルを新たに飼い始めた、飼育数が増えたという人は約3割です。*
*参考元:《株式会社TYL》エキゾチックアニマル飼育に関する調査結果を発表(JP PET NEWS)
エキゾチックアニマルにかける費用から市場規模について考えてみましょう。エキゾチックアニマルは体温調節が苦手な種も多いためか、光熱費が高めになっています。エキゾチックアニマルの中でもっとも年間費用がかかるのはうさぎでした。飼育に必須の4項目(治療費、フード、日用品、光熱費)の年間費用だけで比べると、猫は100,934円で、うさぎの88,410円とそれほど大差がないことがわかります。
参考元:《株式会社TYL》エキゾチックアニマル飼育に関する調査結果を発表(JP PET NEWS)、エキゾチックアニマルの飼育状況について(環境省)、ペットにかける年間支出調査 2019(アニコム損害保険株式会社)
ペットビジネスの分野別の市場規模
様々なペットビジネスが台頭してきていますが、今回は主に犬猫に関連した3つの分野を紹介します。コロナ禍による変化、ペットの家族化、高齢化・健康志向に注目して見ていきましょう。
参考元:ペット産業の動向~市場規模、競争環境、主要プレイヤー(PEDGE)
ペットフード分野
2022年のペットフード市場規模は6,083億円*で、ペット関連商品の国内市場の中で3割以上を占めます。
*参考元:ペットビジネスに関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)
従来のペット飼育者の中でも、ペットフードのプレミアム指向が強まる傾向が見られていたが、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の中、ペットと過ごす時間が増えたことや、ペットにより良いフードを与えたい、コミュニケーションをとりたいという考えから、よりプレミアム指向が強くなったと見られており、・・・
ペットビジネスに関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)
このように、ペットフードのプレミアム志向、健康志向が高まっているようです。ドライ、ソフトドライ、セミモイスト、ウェットなど含有水分量による分類があり、どれが適しているかはそのペットによります。特にドッグフードでは、年齢別、犬種別、体格別、健康目的・症状ケア別などの商品の細分化・多様化が進んでいるようです。キャットフードでは猫に多い下部尿路用のものが多くの企業から販売されています。
さらに、獣医師の助言に基づいて、特定の疾患症状に合わせて栄養成分が調節された療法食のニーズも高まっています。
また、犬猫共に増加傾向にあるのがスナック類。ペットとのコミュニケーションをとるために購入する飼い主が多いようです。猫用スナック分野では、ドライフードよりも香り豊かで猫に好まれやすいウェットタイプの商品も増えています。
ペットフードの流通経路は、ペットショップに加え、ホームセンターやスーパーマーケットでの小売販売チャネルが多様化しています。さらに卸業者を介さないインターネットでの直接販売も増加しているようです。
参考元:コロナ禍でも拡大するペット関連1.7兆円市場(リコー経済社会研究所)
ペット用品分野
ペット用品は、ペットシードや猫砂、シャンプーなど食品以外のペット用品の製造、販売を行う分野を指します。2021年のペット用品の市場規模は2,880億円*でした。
*参考元:ペットビジネスに関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)
ペット用品はペットフードほどコロナ禍による市場規模増加はありませんでしたが、飼い主が家で過ごす時間が増えたことで、ペットの住環境を充実させる商品の人気が高まっているようです。
健康志向の高まりからデンタルケア用品が注目されています。デンタルケア用品とは、歯磨きジェル、ペースト、歯磨きシート、歯ブラシ、口臭予防スプレー、飲水添加タイプなど。参入各社がペットの歯磨きの実施率を高める啓発活動を進めていること、初心者から上級者までの歯磨きレベルに合わせた商品の充実化により、市場は好調が続いています。
他に注目されている生活用品は食器や給水器。ペット飼育のスターターキットの一つで、新規飼育頭数の影響を受けやすいです。2022年は猫の新規飼育頭数の減少、消費者の経済的不安の高まりによる低価格商品のニーズの高まりにより、市場の伸びは鈍化しました。しかし、今後は室内飼育の定着によるデザイン性の高い商品のニーズの増加から、高単価商品へシフトしていき市場が拡大することが見込まれています。
ペットフードと同じく、多様な小売チャネルとインターネット販売が普及しつつあり、様々な流通経路があるようです。
参考元:コロナ禍でも拡大するペット関連1.7兆円市場(リコー経済社会研究所)、ペット関連商品の国内市場を調査(富士経済)、盛り上がるペットビジネス アイデア商品に新サービス…新規参入も相次ぐ 市場規模さらに成長見込む(東京新聞)
生体・サービス分野
生体・サービスは、ペットの生体販売、ペット保険、ペットシッター、老犬ホームなどのサービスを行う分野を指します。2021年の市場規模は8,225億円で、ペットビジネスの市場規模全体の5割以上です。コロナ禍を経て、生体・サービス分野の市場規模はやや減少傾向にあるものの、アフターコロナにおいて新しいサービスを始める企業もあります。
コロナ禍で一般の観光ツアーが激減する中、観光バス会社「B・I・G」はペットと参加できるバスツアー「わんわんトラベル」に乗り出しました。日帰りツアーを提供し好評を得ており、利用者から犬種ごとのツアーの要望もあるそうです。愛犬連れ向けの住友不動産ヴィラフォンテーヌの「inumo芝公園」ともツアーを組むなど連携し、愛犬と一緒に楽しめるツアーを提供しています。
わんわんトラベル(B・I・G)、inumo芝公園(住友不動産ヴィラフォンテーヌ)
また、ペット保険の普及率も増加しています。ペット保険の認知度向上、ペットの家族化などにより、ペット保険普及率は2010年の2.4%から2020年の12.2%まで伸びました*。ペットの高齢化・長寿化により以前よりもペットが一生のうちに動物病院にかかる機会は増えていると考えられるため、ペット保険市場は今後も拡大が見込まれています。
*参考元:コロナ禍でも拡大するペット関連1.7兆円市場(リコー経済社会研究所)
参考元:盛り上がるペットビジネス アイデア商品に新サービス…新規参入も相次ぐ 市場規模さらに成長見込む(東京新聞)
ペットビジネス今後の展望
飼育頭数は減少傾向にあるものの、ペットの家族化、健康志向、高齢化、オンラインの発展により、ペット一匹あたりにかける費用が増加していることがわかりました。
ペットビジネスにはまだまだ伸びしろがあります。
特にペットにとって有意義で、飼い主のニーズを満たすようなペットビジネスが今後も成長していくでしょう。
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