ペットサプリメントの国内市場は2019年以降、毎年拡大しています。
2023年度の国内市場は2022年度比133.3%の12億円が予想されており、2028年度にはさらに14億円(2022年度比155.6%)に成長する見込みです。
そこでこの記事では、ペットサプリメントのOEMを行うための流れとポイント・注意点について解説します。
※参考元:ペット関連市場/23年は5974億円見込み、サプリ・衣類は直販率が伸長(流通ニュース)、ペット関連市場における直販ビジネスの現状と将来展望(株式会社富士経済)
ペットサプリOEMの流れ
ペットサプリメントのOEMは以下の流れで行います。
- 問い合わせ・依頼
- 商品企画
- 試作
- 契約・発注
- 製造・検査
- 納品・販売開始
他商品をOEMする場合と基本的な流れは同じです。
ただしペットサプリメントは動物の健康に影響する可能性もあるため、獣医師や大学、専門機関と連携し、競合他社との差別化やリスク低減を図るケースもあります。
問い合わせ・依頼
まず行うのが、ペットサプリメントのOEMメーカーへの問い合わせです。
同じOEMを行う会社でもメーカーによって、取り扱っている原料や剤型、製造実績、製造設備は異なります。
そのため、問い合わせの際は商品イメージについて相談し、企画が実現可能かどうか予め確認しておくことが大切です。
商品企画
OEMメーカーと打ち合わせを行い、商品の企画設計を行います。
例えば、以下の内容について検討が必要です。
- 原料・剤型、包装形態などの製品仕様
- ターゲット層
- 数量
- 納期
- 予算
- ロット
など
またOEMメーカーの中には、製造・技術面だけではなく、商品開発やマーケティングに関するノウハウを持つ会社もあります。
ペットサプリメントは動物の健康に影響を与える可能性もあるため、開発時は専門知識に基づき商品のリスク低減を図ることも重要です。
試作
打ち合わせた内容をもとに、小ロットで製造されたサンプル品をチェックし、必要に応じて改良を繰り返します。
サンプル品が指示通りに完成しているか、性能やデザイン、コスト面の評価が目的です。また動物が飲みやすいサプリメントとなるよう、形状や風味、食感についても細かな調整を行います。
契約・発注
処方や容量、包装など全ての仕様が決まったら、メーカーと生産方法をすり合わせていきます。
商品の企画設計とズレはないか、納期や品質、コストを含めて、綿密な確認が大切です。
最終見積もりに問題がなければ、商品の発注を行います。
製造・検査
商品を安定的に生産するため、製造段階では主に以下について確認が必要です。
- 原料の安全性は保証されているか
- 適切な製造管理・品質管理が行われているか
- サプリメントの有効性・安全性に問題はないか
- 納品数・納期に問題はないか
製品の検査と改善を繰り返すことで、商品の品質向上と信頼獲得を図ります。
納品・販売開始
検品が完了したら、遂に完成したサプリメントの納品です。
商品に破損が起こらないよう丁寧に輸送し、販売を開始します。商品の販売後も商品に対する消費者の反応を確認し、売上増加のための改善策を見出すことが重要です。
市場のニーズに合う商品を継続して提供することが出来るよう、評価・改善を繰り返し行います。
ペットサプリのOEMのポイント
OEMメーカーの選定ポイントについて解説します。
希望する製品は対応可能か
ペットサプリメントは、投与の目的や利用シーンによって種類が様々です。
たとえば、
- 健康維持を目的としたサプリメント
- 関節ケアのためのサプリメント
- 腸の健康のためのサプリメント
- 口腔ケアのためのサプリメント
など
また、製造時に使用する成分やその配合比率、剤型によっても製品の特徴が大きく変わります。
そのためOEMメーカーを選択する際には、理想とするサプリメントの企画が実現可能かについて確認し、メーカーの得意分野や実績についても調べておきましょう。
製造ロット数・製造期間は問題ないか
OEMメーカー選びのポイントとして、発注可能な最小ロット数や製造期間の確認も挙げられます。
ペットサプリメントを製造する際には、ペットフードと同様に賞味期限の設定が必要です。
賞味期限切れの商品在庫は、動物の健康に影響を及ぼす可能性があるため、基本的に全て廃棄となります。商品の在庫数を抑えてロスを減らすためにも、小ロットでの発注や短期間での製造が可能かどうかを事前に確認しましょう。
製造技術・品質管理体制が整っているか
安心・安全性の高いペットサプリメントを作るためには、OEMメーカーの製造技術や品質管理体制が求められます。
具体的なチェックポイントとしては、以下の通りです。
- 設備・機器の管理方法
- 原料の安全性
- 原料の管理方法
- 品質テストの方法
- 完成した製品の管理方法
ペットサプリメントは、動物の健康を考えて使用する商品であるため、メーカー選びの際には動物の健康リスクに対応していることが条件となります。
ペットサプリOEMにおける注意点
最後は、ペットサプリメントOEMにおける注意点の解説です。
ペットサプリメントはペットフードに含まれるため、ペットフード安全法や薬機法などの法律で管理されています。
そのため、ペットサプリメントを製造・販売する際には、法律に沿った手続きが必要です。
製造の際の注意点
製造の際は、以下の2点に留意します。
- 成分規格
- パッケージの表示基準
成分規格
製造時にまず確認が必要な項目は、成分規格です。ペットフード安全法では、ペットサプリメントに使用可能な成分規格を定めており、基準に合わない商品は製造・輸入・販売することができません。
〈ペットフードの成分規格〉
- かび毒…アフラトキシンB1、デオキシニバレノール
- 重金属等…カドミウム、鉛、無機砒素
- 有機塩素系化合物…BHC、DDT、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、ヘプタクロルエポキシド
- 農薬…クロルピリホスメチル、ピリミホスメチル、マラチオン、メタミドホス、グリホサート
- 添加物…エトキシキン、BHA、BHT、亜硝酸ナトリウム
- その他…メラミン
※参考元:ペットフードの安全確保のために(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)
パッケージの表示基準
ペットサプリメントのパッケージは、ペットフード安全法の表示基準の対象です。
そのため、包装の製造時は以下の5項目について、表示が義務付けられています。
名称 | 商品名をいうが、犬用又は猫用であることがわかるように記載。 |
賞味期限 | 「賞味期限」と記載して、年月日又は年月により表示。(例:2025 08) |
原材料名 | 「原材料名」又は「原材料」と記載して、原則として、使用した原材料(添加物を含む)をすべて記載。 |
原産国名 | 「原産国名」又は「原産国」と記載して、実質的な変更をもたらす最終加工工程を完了した国を記載。 |
事業者の氏名又は名称及び住所 | 事業者の種別(製造業者、輸入業者、販売業者、製造者、輸入者、販売者のいずれかに限る)を記載して、氏名又は名称、住所を記載。 |
販売時の注意点
販売の際の注意点は、以下の2つです。
- 広告表示
- 帳簿の備え付け
広告表示
ペットサプリメントの広告・宣伝を行う際は、薬機法を遵守します。
販売するペットサプリメントのチラシやパンフレット、インターネット等に動物用医薬品としての効能効果を標榜することはできません。
具体的な表現については、以下の通りです。
- 主に、動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的と判断される表示がある場合
- 主に、動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的と判断される表示がある場合
- 主に、医薬部外品の効果効能と判断される表示がある場合
- 医薬品等であることを暗示させる表示がある場合
薬機法に違反した場合は、懲役や罰金といった刑事罰が定められています。
※参考元:動物用医薬品等の該当性及び表示(広告)について(東京都産業労働局)
帳簿の備え付け
ペットサプリメントを卸売または小売などの販売業者に出荷する場合は、帳簿への記帳が必要です。
帳簿には以下の内容を記載し、2年間保存します。
- ペットサプリメントの名称・数量
- 相手方の名称
- 譲渡しの年月日
- ペットサプリメントの荷姿
ただし、ペットの飼い主に直接販売した場合には、帳簿の記載義務はありません。
※参考元:ペットフードの安全確保のために(農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課)
まとめ
ペットサプリメントOEMの流れとポイント、注意点について解説しました。
ペットサプリメントOEMを行う際には、ペットサプリメントの製造経験・実績があり、法律に関する知識を持っているOEMメーカーを選ぶ事が重要だといえます。